『テトラポッドに札束を』

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副題は、「すべては絶望から始まる」。
和佐大輔著、幻冬舎刊。

著者は12歳の夏、海に飛び込んで、テトラポッドに激突。
頸椎を損傷して首から下の機能を失い、車椅子生活になった。

口にくわえた割箸でタイピング。16歳でネットビジネスに出会い、
17歳でブレイクスルー。年商1億円を超えるビジネスを構築。

しかし、「世界は変化の連続であるべきだ」と考える著者は、
「お金を増やすのも、守るのも、美しくない」という。

著者が提唱しているのは、「70億分の1の生き方」。

この世で唯一の存在になり、自分の存在価値を自分で作ること以外に、
「本当の意味で自由に生きて行く方法はない」、という。

逆に言えば、「誰かから存在価値を与えてもらっている」限りは、
自由に生きることはできない、ということ。

だから身につけるべきは「創造(想像)力」。自由に想像することで、
「いま、ここ」の楽しさを見つけることができる、という。

古いルールに縛られず、新しいルールで生きること。
安易に割り切らず、抽象化せず、答えのない問いを問い続けること。

「そのために何をすべきか」も、きちんと紹介されている。
読み進めるうちに何度も、自分の中の古い縛りに気づかされた。

情報に溺れ、惑わされ、飲み込まれることなく、現代社会で
生き抜くには、よほど大きな発想の転換が必要なようである。

この本の深い魅力を語るには、私自身、力不足だと感じる。生きて
いくこと、働くことを考える若い人に、ぜひ読んでみてほしい。

さよなら、cafe霑(TEN)

もともとお気に入りのお店だったけど、がんになってからは、
なくてはならないお店になっていた。

自分で作る玄米菜食は、どうしてもワンパターンになりがち。

縁側や掘り炬燵のある、ゆったりとした古民家で、丁寧に作られた
バラエティ豊かなお料理を味わうのは、大切な息抜きの時間だった。

寒い季節にはお水ではなく、白湯を出してくれる。
そんな、身体に優しい気遣いが嬉しいお店だった。

ここのお料理は、氣の流れがいいのか、少しもひっかかることなく
するすると、身体に入っていくのを感じるのだった。

店にはられた店主の丁寧な文面で、
5月末での閉店を知ったのは2月。

取り乱し、「私はこれからどこで外食したらいいんですか?」と
思わず尋ねてしまった。

姫路近郊の農家さんから届く、有機無農薬野菜を中心とした
10日替わりのTENランチは、税込1400円。

最後の10日間のメニューがこれ。

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初めて一人で訪れ、ゆっくりと最後のランチを楽しんだ。

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おからと玄米のクリームコロッケ 甘酒ソースは絶品だった。

10年単位で人生の節目が訪れる、とおっしゃる店主のtomoさんは、
輝く瞳が素敵な女性。うん、私もほぼ10年単位で転機が訪れたわ。

これからも、店を持つ、教室を開くなど、何らかの形で、
料理に携わる仕事をなさるおつもりだとか。

予約がなかなか取れないほどの人気店だった、cafe霑(TEN)
アイデア満載の彼女のレシピを何らかの形で残したいと夢想し、

私にも何かお手伝いができないかと、あれこれ考えた。

けれども私はまず、自分の身体をどうにかしなければね。

多くの人の支持を集めた彼女のレシピが本物ならば、
これからもまた、多くの人に求められ、愛されていくはず。

いつかどこかでの再会を、楽しみにしている。さよならは、
再び会うまでの遠い約束。薬師丸ひろ子も歌っていた。

今日が最終日。さよなら、cafe霑(TEN)。
そして心から、ありがとうございました。

『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント』

副題は、「4人のわが子が教えてくれたこと」。
堀内祐子+柴田美恵子著、ぶどう社刊。

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堀内さんの4人のお子さんは全員に、アトピー性皮膚炎、喘息、
そして発達障害がある。

長女さんは、アスペルガー症候群。
長男さんは、アスペルガー症候群、ADHD、LD。
次男さんは、アスペルガー症候群、ADHD。
三男さんは、ADHD。

交通事故は7回、救急車に乗ること10回以上。
けれど、不幸だと思ったことは一度もないという。

「この子たちは、脳のなかのつくりがほかの人とちょっと違っている
だけ。普通の子にはない“すてきなところ”をたくさんもっているのよ。

それを上手に引き出してあげればいいの。苦手なことはたくさんある
けど、どうしたら生きやすいか、どうしたら社会で生きていけるか、

そのためのスキルを教えてあげればいいのよ」

そう語る堀内さん。現に4人のお子さんは、それぞれ非常に
個性的で、人とつながることが大好きな青少年に育っている。

「中学生に行ったら、みんなの役に立つ仕事をします」
小学校の卒業式で抱負を述べた次男さんは、

毎日すべての教科書を入れた重いカバンを持って登校し、
教科書を忘れた他のクラスの友だちに貸してあげたりする。

ユニークな言動のエピソードも豊富で楽しく、
すぐに応用できそうな対応の仕方も満載。

これまで出会った発達障害関係の本の中で、
私を一番元気づけてくれたのは、この本かも。

なぜ、こんなに前向きにエネルギッシュに子育てを楽しめるのか?

その答えのひとつが、第5章「子どもの自己肯定感を高めよう」
の中に綴られていた。

こだわりの強い長男さんに同じことを何時間も言い続けられ、
神経はボロボロ、怒りと悲しみが抑えられなかった堀内さんは、

職場の夫君に電話をかけ、ひと通り事情を聞いてもらった。
そのとき夫君は、「オレが悪い」と言ったという。

「そんなにつらい思いをお前だけにさせている、オレが悪い」と。

「そうよ。パパが悪いのよ」と言ってさんざん泣き、泣き終わって
少し落ち着いたとき、堀内さんはふと気づいたという。

「無理難題を言うときって、心が満たされていないんだ」と。

それから、長男が笑顔になることを心がけていくと、
長男の顔が少しずつ柔らかくなっていったという。

「今の私があるのは、あのときの主人のことばのおかげだと
 言ってもいいのです。」

「親の気持ちが満たされていないと、子どもの気持ちを
 満たしてあげることはむずかしいと思います。」と堀内さん。

ここを読んでほしくて、夫にも無理やりこの本を
読んでもらったけど、気づいてくれたかしら。

今でも週に1回「家族の時間」を持ち、話し合いとゲーム、
おいしいデザートを楽しんでいる堀内さんご一家。

私は次郎との時間を楽しめているだろうか?

自分の子育てを猛省して次郎に手紙を書き、ベッドに置いておいた。
だけど、次郎は最初の数行で飽きたらしく、最後まで読んではくれず、

数日後、シワシワ&ヨレヨレになった状態で、ベッド上で発見された。
どうやら手紙の上で寝たらしい。

手紙の最後の方に「テスト期間中、洗い物を休みたかったら言ってね」
と書いておいたのだが、まだそこまで読んでいない次郎。

「最後まで読むと、いいことが書いてあるよ」と
何度も声をかけてはみるのだが、

読むのが面倒くさいのか、はたまた
手紙の存在そのものを忘れ去ってしまっているのか。

一応、目につくところに置いてはあるのだけれど。

しかたがない。今日も洗い物をしてもらうとしましょう。